人間椅子 / 萬燈籠 [おまけ付き]

人間椅子は不遇の時期が長かった、遅咲きバンドと言える。

和嶋慎治(ヴォーカル兼ギター)が
「五十になってようやくバンドで食えるようになった」
というのだから、その苦労は計り知れず。

私は基本的に洋楽ばかり聴いていたため、彼らの存在を知ったのはほんの数年前のこと。

それまでは、日本のミュージシャンに殆ど興味がなかった。

というのも、どれを聴いても欧米の模倣か低品質の作品だと感じるものばかりで、アメリカナイズとしか言いようのない英語混じり(しかも大した意味もない内容)の歌詞にも嫌悪感を感じていたからだ。

まぁ、言うほど質が低くないものもあったけれど、結局欧米に存在する同系統のミュージシャンの方が高品質なことも多く、結局は
「これを聴くくらいだったら、海外のあのバンド(あるいはあの人)の方が良いよね」
という結論となってしまう。

私が人間椅子を知ったのは、ディスクユニオンで当時の新作が流れていたのをたまたま聴いたことがきっかけで、後日歌詞をネットで調べたら彼らの書く詩の良さが分かり、後追いという形でアルバムを買っていった。

「実体があると思い込んでいるものは幻想にすぎない」というコンセプトの基に作られたアルバム「萬燈籠(まんどろ)」
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は最初に買ったアルバムではないのだけれど、歴代のアルバムの中で初と言えるほど突出した仕上がりだと思う。

初期の傑作と言いきれる3rdアルバム「黄金の夜明け」は素材(曲)が良いもののヴォーカル、演奏共に今現在と比べて軽すぎる上に、当時の和嶋のヴォーカルがあまりにも貧弱すぎていまいち聴く気になれなかった(苦笑)

その結果、私にとって人間椅子最初の佳作は「萬燈籠」ということになるわけであります。

彼らの歌詞は和嶋による文学的かつ仏教的な世界観のものと、鈴木研一(ヴォーカル兼ベース)による猟奇的かつユーモラスな世界観のもの、そして少々のオカルト的要素が混じったものとなっており、そこはデビューから一貫して変わっていない。

歌詞は従来と比べてやや説教臭くなったと思うけれど、質は概ね高いと思う。

音的には完全に和製ブラック・サバスで、近年はメタル専門誌でもよく取り上げられているけれど、彼らは決してハード・ロック/ヘヴィ・メタル・バンドではない。

かなりHR/HM寄りな音にはなっているけれど、やはり彼らの本質は文学的なロックだと思います。

個人的に二曲ほど好きじゃないものがあるけれど、「萬燈籠」が人間椅子の作品群の中でも群を抜いた出来であることは間違いない。

ライヴにおけるオープニングの定番となった超仏教的な「此岸御詠歌」や黒百合の花言葉(恋と呪い)を題材にしたであろう「黒百合日記」、ねぷた祭りを題材にしながらも猟奇的に仕上げた「ねぷたのもんどりこ」、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』そのまんまな同名曲といった強力なナンバーが目白押し。

個人的には、特典CDにのみに収録された「オー!デカダンス(デモ音源)」のちゃんとしたヴァージョンも聴きたかったですね。




[おまけ: 人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤]




今回のおまけは、2019年発売のアルバム「新青年」と同じく三十周年記念盤であるベスト・アルバム。
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特筆すべきは過去に発売されたベストの為に収録された新曲まで再録されており、さらに海外人気に応える形で英訳詩が付いていることで、選曲は完璧とまではいかないものの概ね良好かな。

個人的には「踊る一寸法師」が入っていて欲しかったけれど、それでも総合的に見てこのベストが一番良いと思います。



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この記事へのコメント

2020年01月16日 11:22
こんにちは

人間椅子ですか。
知らない。。。
遅咲きのバンドなんですね。
世名 和正
2020年01月16日 17:22

>トトパパさん

人間椅子は日本的なロックの先駆けと言っていいバンドで、本来あるべき日本のバンドの姿でもあると思います。
欧米の模倣をしてもしょうがないですしね。